2012.05.16 (Wed)
2012年5月16日の注文
2012.05.15 (Tue)
Eric Reed / The Baddest Monk

Eric Reed(P)
Seamus Blake(Ts)
Etienne Charles(Tp)
Matt Clohesy(B)
Henry Cole(Ds)
Jose James(Vo)5
Rec. December 5, 2011, NY
(Savant SCD2118)
同じセロニアス・モンク集でも、「Eric Reed / The Dancing Monk(11年、別頁あり)」は期待していたわりにはそれほどでもなかったエリック・リードだけど、本人もその出来栄えには満足していなかったのか、メンバーを新たに再度モンク集に挑戦しているのが、モンク曲が大好きな私としては嬉しい。それにしても普段あまり共演したことがなさそうな、どちらかというとコンテンポラリーなジャズを得意としている面々とレコーディングしているとは驚き。きっとそれだけ新しい風を取り入れたかったのだろう。このメンバーだとかなり面白いことになっていると思うので、アルバムタイトルどおりのイカした(Baddestは悪いという意味ではなさそうだ)演奏を期待している。メンバーの中で馴染みのないティエンヌ・チャールズ(?、本人のサイトあり)は、「Ben Williams / State of Art(11年、別頁あり)」でパーカッションを担当していた人と同一人物と思われる。リーダー作の2枚目「Etienne Charles/Folklore(09年)」と3枚目「同/Kaiso(11年)」にはオベド・カルヴェールが参加しているのに、いまだにHMVでもAmazonでもCDの取り扱いがなくてヤキモキしていたところだけど、とりあえずは本作でのプレイが楽しみだね。これが初聴きのホセ・ジェイムズは、本人のサイトによるとミネアポリスの出身のようだ。
モンク曲の「Rhytum-A-Ning」「Epistrophy」「Green Chimneys」「Monk's Mood」「‘Round Midnight」「Evidence」「Brught Mississippi」と、リード曲の「Monk Beurre Rouge」「The Baddest Monk」で全9曲。
1曲目「Rhytum-A-Ning」はただでさえカッコいい楽曲が、ファンク基調の現代的なアレンジによって、ますますカッコいいことになっている。サビの部分のトリッキーさなんかも実にいい塩梅で、さすがにこのメンバーでやっているだけのことはあるね。リード以外のアドリブは異様に短いとはいえ、ノリノリの演奏で初っ端から楽しませてくれる。2曲目「Epistrophy」は、チャールズの特性を活かしたと思われるラテンの要素も取り入れながらの4ビート演奏だけど、ベースのマット・クローシーも加えての、8小節等の短い小節単位でのアドリブ回しがユニーク。各人のアドリブをじっくりと堪能するとはいかないが、その発想が楽曲をさらに面白いものにしていて、演奏的には非常に好感が持てる。3曲目「Green Chimneys」はウィリアム・アッシュ・トリオのライブ(別頁あり)を我がジャズクラブで主催したときに、前座で出演させていただいた自分のバンド(ギタートリオ)で演奏した想い出の曲。私は「Lorenzo Tucci/Drumonk(07年、別頁あり)」でのアレンジ(セカンドビート)をパクらせてもらったけど、ラテンタッチな味付けが施されたピアノトリオによる本演奏もまた滅茶苦茶カッコいいね。クローシーのガッシリとしたベースを土台としながら、リードとヘンリー・コールがスピードを競い合うかのようにガンガン攻めまくっている。4曲目「Monk's Mood」もピアノトリオでの演奏。バラードでありながら、この曲にも若干のラテン的要素が含まれているということは、チャールズというよりも、むしろミゲル・ゼノンやデヴィッド・サンチェスと共演歴のあるコールの特徴がアルバム全体によく表れているということなのだろう。いずれにしても本作における演奏は、ラテン的なものが一つのテーマとなっているようだ。5曲目「‘Round Midnight」はホセ・ジェイムズとのデュオ。ジェイムズを聴くのはこれが初めてだけど、変な癖や誇張もなく曲調に応じてしっとりと歌い上げていて、なかなかいいヴォーカルだね。リードの伴奏やソロプレイも素晴らしくて、なんか久しぶりにいい「‘Round Midnight」を聴いたような気がする。6曲目は「Evidence」。前の曲がバラードなので、この曲の快活さがますます活きてくるのだが、奇をてらうことのない直球勝負の4ビート演奏(この曲もピアノトリオ)にも非常に好感が持てる。モンク節も部分的に取り入れながらのリードのピアノはテクニック、センス共に抜群だし、オーソドックスな曲調におけるコールのドラミングもなかなかのもの。8バースやその後に続くドラムソロには、いい意味でこれぐらいだったら自分でも真似できるのではと思ってしまいそうな美味しいフレーズがいっぱい詰まっている。7曲目はオリジナルの「Monk Beurre Rouge」。曲名は思い出せないが、テーマの部分にはモンク曲のメロディーも引用したいい感じの曲作りとなっている。ブルージーな曲調の中、黒っぽさを漂わせながらソロをとっているクローシー(実際は白人だが)や、いつになく高域の音階や速いパッセージで攻めているシーマス・ブレイクもいいけれど、この曲でもやはりリードの上手さが光っているね。8曲目は全員参加による「Brught Mississippi」。変拍子(7/8拍子)の8ビートでやっているのと、2曲目同様に短い小節数でドラムソロを含めたアドリブ回しをしているのが斬新で、この曲もまたノリノリで楽しむことができる。オリジナルの9曲目「The Baddest Monk」はソロピアノによるブルース。モンクへのオマージュに相応しいソロでキッチリと締めている。
ということで、「Eric Reed / The Dancing Monk」とは比較にならないほど良いのだが、ブレイクとチャールズに関しては思ったほどアドリブは多くないし、アルバムの中盤もピアノトリオが主体となっているので、彼らに期待して買うと肩すかしを喰らうかもしれない。特にチャールズは出番が少ないので、彼がどのようなトランペッターなのか、私としても本プレイだけではその本質が掴めなかった。でもバンドとしての演奏はどの曲も抜群にいいし、今回はモンク曲の中でも特に好きな楽曲を多く取り上げているので大満足している。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
2012.05.13 (Sun)
Omer Avital / Suite Of The East

Avishai Cohen(Tp)
Joel Frahm(Ts)
Omer Klein(P)
Omer Avital(B)
Daniel Freedman(Ds)
Rec. April 27, 2006, NY
(Anzic Records ANZ0037)
先日聴いた「Daniel Freedman / Bamako By Bus」や「Third World Love / Songs and Portraits」もそうだったけど、Anzic Recordsはレコーディングして数年経ってからリリースするケースが多いんだね。その2枚でも一緒にやっているオマー・アヴィタル、アヴィシャイ・コーエン、ダニエル・フリードマンの最新の演奏が楽しめると思って買ったのに、逆にそれ以前の録音だったとはがっかり。1〜2年前の録音であればどうってこともないのだが、6年も前ともなるとリアルタイムでジャズを聴きたい身としては古臭く感じてしまう。このメンバー絡みの当方所有のアルバムで、ここ5〜6年のレコーディングのものを時系列順に並べると、「Avishai Cohen/After The Big Rain(06年1月)」「本作(06年4月)」「3 Cohens/Braid(06年9月)」「Omer Avital / Free Forever(07年4月)」「Anat Cohen/Notes From The Village(08年5月)」「Third World Love / Songs and Portraits(09年4月)」「Daniel Freedman / Bamako By Bus(09年6月)」「Avishai Cohen / Introducing Triveni(09年12月?)」「Omer Avital Quintet / Live at Smalls(10年4月)」(各別頁あり)となることを、今後リリースされるアルバムは参加メンバーから録音年を推測できるかもしれないので、参考までに記しておこう。
全7曲がアヴィタルのオリジナル。
パット・メセニーの「80/81」中の「トゥー・フォーク・ソングズ」的な1曲目から早くもエンジン全開で、非常にハードな演奏が繰り広げられている。これが初聴きのオマー・クレイン(本人のサイトあり。リーダー作「Omer Klein/Introducing Omer Klein(08年)」「同/Rockets On The Balcony (10年)」がリリースされている)は勢いのあるピアノで元気いっぱいだし、ジョエル・フラームもこんなにできる人だったのかと思ってしまうほどカッコいいアドリブで攻めまくっているし、フリードマンも「Daniel Freedman / Bamako By Bus」とは別人のようにパンチの効いたドラミングでガツンといっているおかげで、録音の古さなんてどうでもよくなってしまう。2曲目はクレインのソロからスタートする、リリカルな中にもイスラエル色を感じさせるような曲。フラームが入る部分からは曲調が変化していて、その演奏のダイナミックさやリズム(拍子)の移り変わりがなんともいい塩梅。16ビートになる場面からは、コーエンとフラームの同時進行アドリブも楽しめる。3曲目も若干のイスラエル色を感じさせながらの民族舞踊的な曲。「ドン、ンタ、ンン、タン」という単調なリズムの繰り返しの中、演奏はどんどん熱を帯びてきて、まずはバンド全体で、そしてコーエン、クレイン、フラームのアドリブでと、何度も波が押し寄せてくるようなダイナミックな演奏がなんともたまらない。4曲目は3曲目と同じようなリズムを用いながらも、泥臭さは排除した現代的なフィーリングに加えて、ラテンやスパニッシュの要素も感じさせる演奏。この曲もまた各人のアドリブは聴き応えがタップリだけど、クレインのアドリブ部分でのアヴィタルとフリードマンのアプローチには、RTFの「サムタイム・アゴー」を連想させるものがあったりして、最高にいい感じで楽しむことができる。5曲目はテーマのメロディーをアヴィタルのベースが担当しているバラード曲。こういうお涙ちょうだい的な曲調のものは基本的にあまり好きではないのだが、この3人での演奏(コーエンとフラームは休んでいる)だとやけに良く感じるね。雰囲気がとてもいいので、クレインのミストーン的なもの(これまでの曲にも何ヶ所かあった)も気にならない。
残りの曲は省略するけれど、なんかアヴィタルのリーダー作としては本作が一番しっくりくるね。自分がリーダーでありながらも、必要以上に前面にはでてきていない(それでいて存在感はタップリなのだから、さすがに大したもの)姿勢にも非常に好感が持てる。各楽器が過不足なく捉えられている録音も上々で、特にラストのベースソロ曲は、低音弦の振動までが伝わってきて鳥肌もの。録音は古めとはいえ、これは買って大正解だった。
評価☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)
2012.05.12 (Sat)
2012年5月12日の注文
2012.05.12 (Sat)
Gonzalo Rubalcaba / XXI Century

Gonzalo Rubalcaba(P, Key)
Matt Brewer(Ac-B, El-B)
Marcus Gilmore(Ds)
Ignacio Beroa(Ds)Disc2 track1
Pedro "Pedrito" Martinez(Per, Vo)Disc1 track1,3,5, Disc2 track2,3,5
Lionel Loueke(G, Vo)Disc1 track3, Disc2 track3
Gary Galimidi(El-G)Disc1 track1
Rec. June 2011, NJ
(5 Passion 3621174865)
Brue Noteレーベルのときとは違い、ひっそりとリリースされた感のあるゴンサロ・ルバルカバの2枚組新譜。21世紀になってもう12年にもなるのに、アルバムタイトルをXXI Centuryとしているのには何か深い意味がありそうなのだが、曲目を見るとEnrique Ubietaの「Son XXI」という曲が入っているので、きっとそこから来ているのだろう。メンバーのマット・ブルーワー、マーカス・ギルモアは前作「Gonzalo Rubalcaba/Avatar(08年、別頁あり)」から引き続きだが、当時はまだテクニック的に未熟に感じられたギルモアは、その後に多くのレコーディング(「Nicholas Payton/Into the Blue(08年)」「Gilad Hekselman/Words Unspoken(08年)」「Joe Martin/Not By Chance(09年)」「Vijay Iyer Trio/Historicity(09年)」「Walter Smith III/Live in Paris(10年)」「Danny Grissett / Stride(11年)」「Keith Brown / Sweet & Lovely(11年)」「John Escreet / The Age We Live In(11年)」「Steve Coleman and Five Elements / The Mancy of Sound(11年)」「Gilad Hekselman / Hearts Wide Open(11年)」「Chick Corea / The Continents (Conserto for Jazz Quintet & Chamber Orchestra)(12年)」「Vijay Iyer Trio / Accelerando(12年)」(各別頁あり)等)に参加したりして著しく技術が向上しているし、ブルーアーもまた先日聴いたばかりの「Steve Lehman Trio / Dialect Fluorescent(12年、別頁あり)」での芯のガッチリとしたベースが素晴らしかったので、本作でのプレイも楽しみにしている。そんなトリオを核として、曲によってはコンガ奏者ペドロ・マルチネスや、ここ1〜2年でようやく馴染めるようになったリオーネル・ルエケ(クレジットではLouekeでなく、Leoukeとミス表記)らが参加して、はたしてどのような演奏を繰り広げているのか興味深い。
ルバルカバ曲が4曲、ブルーワー曲が1曲、ルエケ曲が1曲、エヴァンスの「Time Remembered」、ポール・ブレイの「Moore」、Enrique Ubietaの「Son XXI」、トリスターノの「Lennie's Pennies」で全10曲(Disc1が5曲、Disc2が5曲)。
ファンク色が多少強かった前作「Avatar」から路線を変更して、本作ではルバルカバ本来の持ち味であるラテン色を復活させている。その演奏は即興度や自由度が高いこともあり1曲平均9分と長めなので、2枚組にせざるを得なかったようだ。嬉しいのはここ年々もルバルカバに抱いていたダークな曲調をやっていることに対する違和感は全く感じないこと。そういう曲調のものはエヴァンス曲の2曲目「Time Remembered」ぐらいということは、きっと本人もいい方向に吹っ切れたのだろう。かといってラテンタッチな曲調のものを、これみよがしなテクニックで弾いているわけではないあたりには、どういう音楽の方向性でやっていこうかという長年の葛藤を乗り越えた成長ぶりが感じられる。ルバルカバのアルバムは、ソロ作品を除いてほとんど聴いてきたけれど、本作はリリース当時愛聴していた「Gonzalo Rubalcaba/Images(91年)」(ジョン・パティトゥッチ、ジャック・ディジョネットとの共演盤)以上に良く感じるね。ルバルカバのプレイが素晴らしいのはもちろんのこと、曲によってウッドとエレベを使い分けているブルーワーと、「Avatar」とは比べものにならないほどにテクニック的にも音楽的にも向上しているギルモアのフレキシブルなドラミングが有機的に絡み合っているおかげで、トリオとしても非常に魅力的な演奏が楽しめる。それに加えてシンプルなビートを打ち出しているマルチネス(アフリカ的なヴォイスも担当)が、サウンド上のいいアクセントとなっているし、自分の個性は押さえながらバンドにキチンと嵌ったプレイをしているルエケにも好感が持てるし、Disc1の1曲目のみに参加しているGary Galimidiの、デヴィッド・フュージンスキー的なギターもいい感じだね。
楽曲はどれもがみんな良いのだが(「XXI Century」という大げさなタイトルからイメージするのとは違い、自然体の演奏をしているのもグッド)、その中でもアップテンポの4ビートで演奏されるDisc2の4曲目「Lennie's Pennies」(トリスターノ曲)での、トリオが一丸となってのテンションの高いプレイが最高に気に入った。ジム・アンダーソンの各楽器をバランスよく捉えている録音も、演奏の素晴らしさをさらに際立たせているね。ルバルカバのアルバムとしては、久しぶりに全面的に共感できる作品に巡り合うことができたけど、これがBrue Noteからのリリースだとなかなかこうはいかなかったかもしれない。
評価☆☆☆☆☆ (☆最悪!、☆☆悪い、☆☆☆普通、☆☆☆☆良い、☆☆☆☆☆最高!)





